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東京湾の風の島、式根島のアウトドアを楽しむ (後編) [PR] #tokyo #tokyoreporter #tamashima #shikinejima

この記事は、reviews(レビューズ)より依頼した企画です。

東京都の観光PR事業の一環で訪問した式根島、後編は島の観光名所である温泉と海水浴場を巡っていきます。

式根島は、徒歩でも十分まわることができるほどよい小ささに、4つの海水浴場、4つの野天風呂と温泉施設が点在しています。宿から水着のまま歩いて回っても、海水浴場や温泉に無理なく行けるというのが、家族連れにも便利な条件ですね。

一つだけ注意したいのは、式根島の野天風呂はどれも混浴で、水着着用となっている点です。また、地鉈温泉のように衣類やタオルに色が付く温泉もありますので、温泉専用にタオルを用意しておくのが無難です。

地鉈温泉(じなたおんせん)

全国の露天風呂を回って評価した野口冬人の温泉番付で東の張出横綱に評価されている地鉈温泉は、その名の通り、崖に鉈を振り下ろしたような谷間の先にあります。

地鉈温泉は村の中心部から少し歩いた、島の南側にあります。前編で紹介した御釜湾遊歩道の入り口のすぐそばです。

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その途中には、道路の壁面にうがたれたこんな不思議な穴が。「湯加減の穴」とありますが…。

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手を入れてみると、浴室に手を入れたみたいに熱気が感じられます。この奥にも温泉が湧いているのですね。式根島は、このように島中に温泉がみられるのです。

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地鉈温泉という看板まで行き着きますが、そこからはまだ温泉は見えません。というのも、この谷を150段以上の階段を降りて、海岸まで出ないといけないからです。

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どんどんと降りてゆくと、いったいどのようにしてできたのか不思議になる細い谷底が見えてきます。防護柵はあるものの、落石があったらひとたまりもなさそうな怖さがあります。

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谷底まで来ても、まだまだ地鉈温泉はこの先、谷の先端までいかないといけません。まさに秘湯です。

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ようやく付きました。脱衣場と岩場に書かれた場所はあるものの、いったいそれがどこなのかピンとこないくらいに、荒々しい岩場がそのままの露天風呂です。

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水着に着替えて、おそるおそる近寄ると、地元のかたが先に入っておられ、楽な入り方を教えて下さいました。この土嚢のある手前が源泉でとても熱いので、それよりも奥につかり、湯加減が冷たいようなら土嚢をどけて湯を調節するのだそうです。

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岩は表面がすべてぬるぬるとした付着物に覆われていて、水着もべっとりと茶色に染まりました。いったい何なのでしょう。温泉の成分と、海の藻でしょうか…?

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地鉈温泉と海との距離は、この日はこのくらいでしたが、潮の満ち引きによっては海の水が入り込み、日によっては入浴ができません。海との境目にある、天然の露天風呂です。

入ると、炬燵の中にはいっているような、体が内側から温まってくるような不思議な感覚に包まれます。そしてこの感覚も、きっと日によって変化するのでしょう。温泉好き、しかも混浴の野天風呂でもどんどんと挑戦したいという人なら、これは一度来る価値があります。

地鉈温泉 – Spherical Image – RICOH THETA

地鉈温泉を Theta で撮影してみました。あらためてみても、谷底の海と陸の境目の露天風呂というのが、奇跡のような配置ですね。

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地鉈温泉はしっかりあたたまることができますが、帰り道はやはりこの階段の道の一本きりですので、足に自信がないひとにはあまりおすすめできません。実は地鉈温泉の湯を引いた温泉が別にありますので、そちらも利用できます。

足付温泉(あしつきおんせん)

式根島の南側の海岸線は、基本的にどこからでも湯がでています。地鉈温泉から海岸線沿いに東に歩くと、もう一つ、野性味溢れた野天風呂がありました。

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温泉の入り口には、このような枝ぶりのよい松が日陰を作っています。 白砂青松(はくしゃせいしょう)とは、白い砂浜に青い松という、日本の海岸線を表す言葉ですが、この足付温泉の付近も「式根松島」といわれた海岸と松の名勝としてされています。

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そのまま進むと、岩場だらけの海岸線がでてきますが、湯船らしいものはなかなか見えてきません。

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ところどころに、このような海の水がたまったような水たまりがありますが、これが温泉なのでしょうか? 近づいてみると…。

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写真ではわかりにくいと思いますが、魚さえ泳いでいます。しかし手でさわると、なるほどかすかに海の水そのままではない、ぬくもりが感じられます。ここはすべて温泉なのです。

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海岸線を一番奥まで進むと、石を積んで、湯船を作っている場所がでてきます。この足付温泉は、潮の満ち引き、岩の加減によって、海水と温泉とを適度にまぜて入れる場所に入るという、不思議な湯なのです。

松が下 雅湯(まつがした みやびゆ)

足付温泉のとなりにあるのが、こちら松が下雅湯です。ここは先ほどの地鉈温泉から湯を引いており、階段が無理という人でも温泉が楽しめるように足湯と湯船が用意されています。

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足湯は水着不要ですので気軽に利用できますが、この日はあまりに熱くて足をつけることができませんでした。これも調整のしかたがあったのかもしれませんね。

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松が下雅湯の湯船から、足付温泉の海岸を見ることができます。家族でやってくるなら、アクセスもよく、足場に危険がないこの湯がもっともおすすめかもしれません。

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この付近には与謝野晶子の歌碑もありました。昭和13年に、彼女が島を訪れた際に詠んだ歌が刻まれています。

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「波かよう 門をもちたる岩ありぬ 式根無人の 嶋なりしかば」

式根はもともと無人の島なれば、岩が門のようになっていてもそこを通うのは波ばかりといった意味でしょうか。昭和13年(1938年)というと、明治21年の式根島開島からちょうど50年で、次第に島にも人が賑わい始めていた頃だと思いますが、歌人はかつての無人島の名残を感じて歌にしたのかもしれません。

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歌碑の近くには、このようなちょっと可笑しな石碑もありました。きいたところによると、伊豆諸島で式根島だけが一島一村ではなく、新島村に属していたことから、かつて村として独立しようと活動が行われた時代もあった、その時に作られたものなのだそうです。

憩の家(いこいのいえ)

水着の必要な屋外温泉だけではなく、村営の温泉施設も利用できます。それが集落の中心部から少しあるいたところにある、「憩の家」です。

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雨の場合や、夜などはこちらを利用してもよいでしょう。 大人200円、子供100円で、朝10時から21時半(最終受付け21時)まで開いています。休館日は水曜日。

まいまいず井戸

温泉とはちょっと違うのですが、集落を歩いていて興味深かったので立ち寄ったのがこちら、かつて村の水を賄っていた「まいまいず井戸」です。カタツムリのように道が巻きながら底に続いているのでこのような名前になっています。

この井戸が掘られたのは、開島当初の明治23年から明治25年の3年間で、それまでは水に苦労していたのが、この井戸によって集落が大きく発展することができたのだそうです。 インフラが整備されたいまとなっては、この小さな井戸一つがどれほどの意味をもっていたのか理解しづらくなっていますが、災害などが起きれば条件は昔と同じです。島を開き、集落を作ってゆくということの難しさやプロセスが、なんとなくこの井戸から見えてきますね。

式根島の4つの海水浴場

さて、今回は冬場の取材だったこともあり、海水浴場は写真を撮影するのに理想的な状態ではありませんでしたが、場所や雰囲気を伝えるためにもご紹介しておきたいと思います。

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式根島には北側に3つ、南側に1つの、あわせて4つの海水浴場があります。どれも集落からほど近い場所にありますので、宿で水着に着替えて歩きか、レンタルした自転車でゆくのでよいでしょう(地図は式根島観光協会配布のPDFを加工しています)。

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海岸の砂はこのような細かい結晶のようで、日差しで様々な色にきらめくのが特徴です。これはまた、泳ぐためだけに来てみたいですね。

泊海水浴場(とまりかいすいよくじょう)

式根島のポスターでもたびたび使用される、島のシンボル的な海岸が泊海水浴場です。こちらは今回宿泊したプチホテル「ラ・メール」から最も近く、歩いて数分の場所にあります。

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海岸沿いの道をあるいて、砂浜に向かいます。夏ならば、水着の観光客が大勢いるのでしょうね。

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途中通りかかったのが、こちら泊神社です。島が開いたのは明治ですが、それ以前から存在した社が移築・増築を繰り返して今の形になったものだそうです。

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その先にあるのが、この貝殻の形をした入江の泊海水浴場です。すぼんだ海への出口から、波がひたひたと放射状に打ち寄せるのが見ていて心落ち着きます。

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これだけの入江ですので、すぐそこが荒々しい太平洋でも、とても安全な海水浴場になっています。

泊海水浴場 – Spherical Image – RICOH THETA

夏ならいいのに!

大浦海水浴場(おおうらかいすいよくじょう)

泊海水浴場から西隣りにあるのが、こちら大浦海水浴場です。泊に比べると開けていますが、遠浅ですので危険はなく、近場の岩で海の生物の観察などができるそうです。

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中の浦海水浴場(なかのうらかいすいよくじょう)

大浦海水浴場からさらに西に一つ隣り、壺のような地形の海水浴場がこちらの中の浦海水浴場です。

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こちらはシュノーケリングやダイビングに最適な海岸だということです。

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石白川海水浴場(いししらかわかいすいよくじょう)

唯一、島の南側にあるのが、石白川海水浴場です。集落からもほど近く、海水浴だけでなく夕方の散歩などに良いロケーションです。

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訪れた日も、のんびりとした夕日のなか、ランニングや散歩を楽しんでいる方が何人もいました。私はこのポジションが気に入って、しばらく波が打ち寄せる様子を眺めて目を楽しませていました。

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石白川海水浴場のすぐ近くには、潮干狩りができる海岸もありました。ここは足付温泉からほど近い場所なので、足を踏み入れると海水が温かいのが特徴です。

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海の中を探していると、ヤドカリだらけです。魚も浅瀬に集まっていますし、これは夏なら子供が大興奮で遊べそうな場所ですね。

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この近くには、不思議な慰霊碑もありました。「塩釜の跡」という旧跡のほとりにあるもので、かつて新島が幕府の天領だったころ、年貢の製塩が行われていたという場所です。

年貢塩の不足に身の潔白を示すために船頭が煮え立つ塩釜に身を投じたという伝え話があり、この供養塔はその後に作られたものなのだそうです。

この反対側の石碑には、「もう一度笑顔を(判読できず)父母(判読できず)」と書かれた供養の塔もあり、なにかの悲劇を思い起こさせます。

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島を旅していると、こうして来歴が案内板に書いてあるものの、すでに詳細が明らかではなかったり、すでに誰も記憶していない出来事の名残を見つけることもあります。

足早に通り過ぎる旅人にすぎない私には、その詳細な来歴は知ることはできないのですが、おそらくはこの島が開かれた苦難の歴史に関係があるのだろうと、心の中で記憶に刻みつけるのでした。

さようなら式根島。帰りの旅

さあ、一泊二日の式根島紀行もいよいよ終わりです。

金曜日の夜に出発した場合、一泊二日ならば土曜日の朝9時頃に式根島に到着、そして日曜日の11時頃に帰りの船がやってきます(ただし、天候次第で早い便になることもあるので、注意が必要です)。

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帰りの船のなかのおやつにと、毎日焼き立てのパンを作るので評判の下村商店で揚げパンを買っていきました。これも式根島に行った人の間ではわりと有名な商品ですね。

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昨日も乗った「さるびあ号」が予定通り野伏港に到着したので乗り込みます。

夏場はそれほど問題ありませんが、冬の場合は天候が周期的に悪くなりますので、接岸できない場合は運が悪いと一日、二日島に閉じ込められてしまうということも珍しくありません。出発時だけではなく、帰りの頃の天候も予想して出発するのが重要になります。

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あっという間に、式根島が遠くなります。いつもそうなのですが、島に到着するときには何が待っているのか不安で、帰る頃にはたった一日でも去りがたい気持ちが湧いてくるのですよね。また来ます!

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行きは夜ご飯のあとだったので飛ばしていたのですが、「さるびあ丸」おすすめのジャンボエビフライカレーを今度はいただきました。

なるほどこれは大きい、そして船で食べるカレーというのはどうしてこんなに美味しいのだろうかと。これは本当なのでみなさんもぜひ船旅では試してみてください。

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帰りの船旅は、浦賀水道に入るのが夕方ですので、タイミングに注意して見逃したくないのが、富津岬の先にある東京湾の人工島、第二海堡です。

かつての砲台も、いまは灯台の島となって浦賀水道の道標になっています。船が通り過ぎるのは一瞬ですので、見逃さないようにしましょう。

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「さるびあ丸」が浦賀水道をぬけてゆくのは夕方の5時から6時ほどです。夏ならばまだ日が高いですが、冬の島旅の良さはこの浦賀水道の夕暮れを満喫できるところです。

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本牧埠頭のクレーンと、背後に沈んでゆく夕日を堪能できるのもこの季節ならではです。これは旅にボーナスがついたみたいでとてもうれしいですね。

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夜景がみえてくると、都会に戻ってきたという気持ちがぐっと強まります。しかし心のどこかには、まだ島の風景や、風の記憶が残っているのです。

これが陸路の旅とはまた違った、船旅ならではの心の残響なのです。

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この記事は東京都「多摩・島しょ魅力発信事業」・「Tokyo Reporter 島旅&山旅」リポーターとして招待をうけて書かれています

堀 正岳

堀 E. 正岳。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、Lifehacking.jpClimate+を運営しています。

著書に「理系のためのクラウド知的生産術」」(講談社ブルーバックス)、「Evernoteオールインワンガイド」(インプレス・共著)、「iPhone習慣術」(インプレス・共著)、「モレスキン 「伝説のノート」活用術」(ダイヤモンド・共著)、「情報ダイエット仕事術」(大和書房)

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