新生ナイアンティックの始動でIngressの今後がさらに楽しみになる

いまや日本中で、世界中で人気を通り越してライフスタイルになりつつある「Ingress」(イングレス)。元々Googleの社内ベンチャーであったNiantic Labsが先日独立したことは耳に新しいですが、それにともなって日本法人である「株式会社ナイアンティック」も設立されました。その新オフィスのパーティーにメディアとして招かれましたので、その内部の様子を報告したいと思います。

XMたちこめる都内某所に潜入

地図の案内にあったのは、都心の某所。「場所は秘密にしてくださいね」と目が笑っていない表情でスタッフからやんわりといわれましたので、明かしてしまうと身の危険が危ないわけですが、周囲はある意味XMがあふれているいて、ナイアンティックらしい場所です。

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今回招かれたのはパートナー企業とメディア関係者。テーブルの上にはIngressをイメージしたフィンガーフード。クッキーはいいとして…待って、そのパテは何からできているのかな…。食べたら脳になにかダウンロードされたりしそうなのですが。

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ここで嬉しいサプライズがあったのは、今回「株式会社ナイアンティック」の代表取締役として、GoogleでGoogleマップのパートナーシップ日本統括部長として腕をふるっていた村井説人(むらい せつと)氏が就任されるというニュースでした。

村井さんとは以前から何度かお会いしていましたが、パートナーが必要としていることを一瞬で見抜いて、ビジネスとして手を打ってゆくことができる、とても頼りになる人物です。

Ingress、あるいはナイアンティックが生み出すゲームやサービスを「現実と非現実との間にわたされた情報のレイヤー」としてとらえた場合、そのレイヤーから価値を創出するのがユーザーとしても、ビジネスとしても最重要の課題です。そうした情報のレイヤーをデザインするセンスの持ち主として、村井さんは最適任といっていいでしょう。

パートナー企業の意味と、未来

今回のイベントでは、ナイアンティックのパートナー企業のプレゼンテーションもありました。エージェントとしては新アイテムや、新ポータルといった形でその都度情報がやってくるので、その全体像や戦略はいまいちみえてこなかったのですが、今回のプレゼンでいかに Ingress のパートナーシップが考えぬかれて作られているかが理解できました。

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たとえばソフトバンクの場合、Pepper が答えることができる質問と解答はクラウドで同期されています。横須賀市の偉人ミッションで登場した小栗忠順という名前や「エンライテンド」といった言葉をかけると所定の返答をするようになっているのですが、実はこれ、横須賀だけでなく全国のソフトバンクショップのPepperが同様に答えるようになっているんです。ぜひ試してみてください(笑)

こうした Pepper の仕組みを Ingress に組み合わせること、あるいはSoftbank Ultralinkアイテムのように、「長いリンクをはって感動する」という感動の場に企業のアイテムがあるというマーケティングは、とても新しいとりくみです。

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伊藤園の「ガ茶」キャンペーンといわれたシールキャンペーンも、表向きはいつもと同じペットボトル上のプレゼント企画に過ぎませんが、今年のような暑い夏に汗を流しながら行動しているエージェントに「おつかれさま」という意味を与えるという意味で、受け取る側にとっては「癒やし」や「達成感」を与えるマーケティングです。

伊藤園には「自販機がBurn Outしたので補充して欲しい」という連絡が地方からも殺到して、いまではイングレスについて知らない社員はいないくらい、その威力に驚いているのだとか。

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異色のタイアップである MUFG との取り組みも、来年4月までと長い時間をかけているのには、赤カプセルというゲームのバランスを一変させたアイテムの受容とともにゆるやかにマーケティングを行うという意味合いもあります。なかなか数値化は難しいと思うのですが、赤カプセルを見るたびにアイテムが増えていて、「増える」というイメージがMUFGと結びつくのは、長い時間をかけたイメージ戦略なんですね。

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新しいパートナーであるhontoも、面白い存在です。現実の書店と、電子書籍のマーケットのハイブリッドという意味では、それは Ingress ととても似ています。また、Ingress には隠された知識にアクセスするというバックストーリーもあって、今後それを活用したキャンペーンが行われることも期待されます。これ、本当に楽しみ。

エージェントにとって新生ナイアンティックはどういう意味をもつか

印象づけられたのは、ナイアンティックはパートナー企業を選ぶ際にこれまで、1. それが Ingress の世界に馴染むこと、2. 新しいマーケティングのフォーマットであること、3. 長いパートナーシップによるゆるやかなブランディング戦略になること、を心がけているという点です。

ゲームバランスを壊すアイテムを無理にエージェントに購入させることもなければ、短期間の施策でおわるようなこともせず、パートナー企業とじっくりとディスカッションをしてサービスの未来を考えているという点です。

Ingress の特長の一つに「ゆるやかにルールが変化してゆく」という面があります。新しいアイテム、新しいイベント、そういったものによって以前と同じルールのうえに、ゆるやかに新しいゲームが構築されてゆく。そこにパートナー企業との幸せな関係が編み込まれ、さらに多くのひとが行動を起こす理由が与えられてゆく。

こうした変化を受け入れながら、Ingress がより楽しいものになってゆくことに、そして何よりも、長く長く続くことに期待したいと思います。最初にも書きましたが、Ingress はゲームではありません。Ingress はライフスタイルなのです。2016年はこの意味がより明らかになってゆく一年になるのではないでしょうか?

私も横須賀市とのコラボレーションでは監修を担当させていただきましたが、この「新しい観光としてのIngress」という方面でもなにかお手伝いできることがあるのではないかとわくわくしています。

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お披露目会では沖縄で開催される Abaddon アノマリーで販売される公式パーカーとTシャツも公開されました。Ingress テーマと、Enlightened / Resistance の3種類があるそうです。

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新生ナイアンティックに3人の日本人スタッフが常駐し、サンフランシスコにも3人が配属されている体制は、よりきめ細かいサービス提供が期待できます。

新社長に就任した村井さん、おめでとうございます!須賀さん、廣井さんも、今後ともよろしくお願いします!

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