あり得ない風景を渡り歩くゲーム、Monument Valleyの魅力とファンの支持

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4月に発表されたとたん全世界の有料ゲームアプリの1位の座を席捲して、Apple Design Award のゲーム部門も受賞したMonument Valleyを2ヶ月たったいまでも、時折思い出すようにプレイしています。

Monument Valley はマウリッツ・エッシャーの不可能な建築をモチーフとして、そこに夢見るようなインド建築のタッチを加えたパズルゲームで、プレイヤーは主人公の女の子を操作してこの幻想的なモニュメントを踏破していきます。

一つ一つが数分でクリアすることのできるうえに、たった10個のレベルしかない短いゲームですが、印象深いグラフィックと音楽で魅力が尽きません。

実際、我が家ではまだ自分たちではプレイできない二人の子供が夢中になって iPad を覗きこんで見ようとするので、我が家では最近もMonument Valleyのレベルを一日一つだけ、眠る前に見せてあげることが日課になっています。

この不思議なゲームの魅力と、全世界でそれを支えているファンアートについてご紹介します。

不可能の迷宮、不在の物語

主人公は物言わない姫、アイダ。プレイヤーは彼女の行き先に向かって画面上をタップするか、迷宮に存在するハンドルなどを操作して道をつくりだすというシンプルな操作しかありません。プレイはほぼ一直線で頭を使う部分はないのですが、普通のゲームと違うのは、ここでは普通の幾何学と重力の常識は通用しないという点を頭にいれておかないといけません。

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最初の面はたったこれだけのチュートリアルですが、すでにおかしなことになっています。左の画面のハンドルを使ってモニュメントの一部分を回転させるとアイダが通ることのできる道が生まれますが、そこ、現実ではつながらないはずだよね…? ということが平気で起こります。

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しかしゲームは基本的に一直線ですし、ヒントもふんだんにありますので小さな子供でも問題なくプレイすることは可能でしょう。

物語はあるようでどこか曖昧で、いったいアイダが何者なのか、このモニュメントはなんなのか、すべてが神秘的な霧のなかです。このさじ加減も見事。

大人なプレイヤーにぜひおすすめしたいのは、iPad のような大きな画面の端末でヘッドフォンをつけて完全にこの世界に没入することです。

最初の一巡では気づくことができなかった微細なディテールがこの世界にはあふれています。本当にさりげなく木が揺れている。水面の下に見えないくらいの小さな幾何学的な小魚が泳いでいる。凍てつくような地下の空気に仄かな光の粉が舞っているなど、いったいどれだけの作りこみをしているんだと驚かされます。

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アイダや、途中で登場するトーテムが何もしていないときに怪訝に首をかしげたり、瞬きする様子などの演出も、シンプルなグラフィックに表情を与えています。開発者たちが「どの瞬間をスクリーンショットにとっても、アートとして成立するように」デザインしたというのは伊達ではないわけです。

ゲームといえばアクション、パズル、ストラテジーなど、類型化と専門化が非常に進んでいるわけですが、こうして風景のなかをウォークスルーするだけの単純なゲームにこれだけの喜びや驚きを詰め込むことができるデザインの力は本当に偉大だと感じます。

プレイヤーにどのような体験をしてほしいかをデザインするならば、ゲームにはまだまだ新しい可能性があるということなのでしょう。

世界中に広がるファンアート

Monument Valley の独特な魅力は世界中の人の想像力を刺激してやまず、リリースと同時に多くのファンアートが登場したのも一つの特徴です。

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こちらの Tumblr ページはそんな Monument Valley のファンアートだけに特化したブログになっていますが、おそらく子供が描いた絵から、ちょっと本気になってしまった大人がデザインしたグラフィックまで、さまざまな作品が投稿されています。

我が家でも4歳の娘が「女の子はどうしてここにいるの?」「女の子はさびしくないのかな?」「きっとおつきさまに会いたくてお城を登っているんだね」などと、頭のなかで自然に物語が生まれている様子です。

さて、あまりの魅力に対して「短すぎる!」と残念に思っている全世界のファンの声に答えて、開発元ではいま新しいレベルの開発が行われているようです。

つい先日も、「ここまでできっと一番むずかしいレベルが出来上がったところだ」というツイートが流れていましたし、いずれアップデートか、別アプリという形で出会うことができるはずです。

ゲームの雰囲気については以下の動画でも紹介されていますので、ご覧のうえで、ぜひこの世界に没入してみてください。

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