知的に生きるヒント

[英語メモ] “I, for one” H. G. ウェルズから始まり、シンプソンズが広めた表現

ツイッターが時系列ではないタイムラインを導入する可能性が報道され、Googleの検索に人工知能 AI がより活用されるというニュースをみるにつけ、人類はそのうち機械に支配されるのではないかと冗談の一つもいいたくなります。

そうしたとき、ツイッターなどでよくみかけるフレーズが “I, for one, Welcome Our New AI Overlords” というものです。

「少なくとも私めは、新たにしろしめす AI の君主を歓迎するものであります」という意味の、媚びへつらう感じのこのフレーズは、なにか抗しえない大きな企業の力や外的な影響がやってきたときに、皮肉交じりで「どうせ歯向かってもむだなんだから」という意味で使われます。

この表現、元々は古かったのを、アメリカのアニメ「シンプソンズ」が大きく広めたという経緯があります。

H.G.ウェルズから、アニメへ

元はといえば、このフレーズは1977年に公開された H. G. ウェルズの「蟻の帝国」の映画版のなかで登場するセリフでした。突然変異した蟻が人類を襲うという設定のこの話のなかで、女優の “I, for one, welcome our new insect overlords.” というセリフが存在します。

このフレーズが爆発的に使われるようになったのは、1994年に放映された「シンプソンズ」の “Deep Space Homer” の回でやはり宇宙アリが攻めてくるところだと勘違いしたニュースキャスターがまったく同じセリフをいうシーンからきています。

“One thing is for certain: there is no stopping them; the ants will soon be here. And I for one welcome our new insect overlords. I’d like to remind them that as a trusted TV personality, I can be helpful in rounding up others to toil in their underground sugar caves.”

「一つだけ確実なことがあります。彼らを止める方法などなにもありません。アリたちはやがてここにやってくるでしょう。そして私めは少なくとも、新しいアリの君主を歓迎するものであります。そして信頼のおけるTVパーソナリティーがご入用でしたらば、私が地下の砂糖の洞窟でお力になりますよ」

丁寧な言葉づかいで「自分だけは助けてほしい」とさりげなく伝える浅ましさが印象深い名台詞ですね。

使われ方

このフレーズ、オンライン掲示板などでは insect を別の強くなりすぎた存在に対して置き換えることで皮肉をいう目的で使われます。

登場したのが1994年ですから、それ以来 Windows, Linux, Google, Apple などありとあらゆるものに使用されて、その都度掲示板上での含み笑いを誘ってきました。スラッシュドットなどでよくみかけましたよね。

比較的近年だと、2010年のNPRの記事が “I, For One, Welcome Our New Robot Overlords” というタイトルで、歩み寄るロボット革命と、なぜそれが良いことかを簡潔に述べています。

次に insect の部分に入るのはなんでしょう?

自動運転自動車? それとも電脳技術? あるいは結局のところ蚊で媒介される病気に脅かされ続けている人類には、Insect のままでもよいのかもしれません。